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サイエンス読み物

似姿違質「食用キノコ VS 毒キノコ」

Science Window 2006年10月号(2006年、見本号、2ページ)より再掲
掲載日
2024.06.01

 色鮮やかなキノコには毒のあるものが多いのですが、食べられるキノコも数種あります。猛毒のキノコのなかからそれを選べるのは、識別に相当自信のある人でしょう。タマゴタケとベニテングタケはどちらも夏〜秋、コナラ、シイなどの林床で見つかるし、発生時期や周囲の環境、姿など、似たところはたくさん。でもよく観察すると違いもあり、ベニテングタケの傘には白い破片模様がついています。傘の裏側のひだや柄はタマゴタケが黄色で、ベニテングタケは白。タマゴタケはその名からも想像できるように、根の近くのつぼが大きく卵のよう。一方、ベニテングタケのつぼはあまり目立ちません。何といっても両者の違いは、タマゴタケは食べたら美味で、ベニテングタケは食べると下痢や嘔吐、幻覚などを引き起こす毒キノコであること。一部の地域では毒ぬきして食すようですが、一般的には危険です。主な毒成分はイボテン酸、ムッシモール、ムスカリン。

 【似姿違質(じしいしつ)】は創作四字熟語。「スガタはにれどもシツたがう」と読んでいただいてもかまいません。姿形が似通っていても分類上、または進化の過程が違うもの、人間にとっての好・不都合など、異なる価値を持つ2つの生物を対比してお見せしています。

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