【コラム】校外にも学びはたくさん 宇宙と私たちの暮らし
足を運ぶことで得られる校外での学び。ロマンに満ちあふれた「宇宙」にまつわる学習の場を紹介する。
明石市立天文科学館(兵庫県明石市)
日本標準時の基準となる東経135度子午線が通る兵庫県明石市に1960年に建てられた。天文科学館は、日本標準時子午線の標識でもあり、「時と宇宙の博物館」だ。館内外で子午線の場所を実感できるほか、旧東ドイツ時代のカールツァイス社(イエナ)製の投影機を使ったプラネタリウムや、日時計、明石の子午線観測を行った子午儀、隕石や宇宙開発の歴史などの資料を展示している。また、月に1~2回天体観望会も行われている。
1995年の阪神・淡路大震災では震源から数キロメートルしか離れておらず、推定震度7の激震に見舞われ、館内全体が壊滅的な被害を受けた。だが、プラネタリウム投影機は奇跡的に無事だった。3年2ヶ月に及ぶ館内の震災復旧工事が行われ、1998年にリニューアルオープン。プラネタリウムには震災前と同じ投影機が使用され、復興の象徴となった。2024年現在も稼働中で、国内現役最古のプラネタリウム投影機となっている。
投影のスタイルは、学芸員の解説のもと、日の入りから日の出まで、「明石の一晩の星空」を楽しむことができる。プラネタリウムの感想の中に、「つい寝てしまう。せっかく学芸員が説明してくれるのに申し訳ない」というものがあったことから、「寝てスッキリしていただくプログラム」を発案。毎年、勤労感謝の日に「熟睡プラ寝たリウム」という特別なイベントを開き、プラネタリウムで眠りを誘い、あえて50分間寝て楽しむというユニークな取り組みも実施している。
また、プラネタリウムに「シゴセンジャー」というヒーローが登場し、クイズで天文の話題を伝える企画も人気を呼んでいる。赤ちゃん、子ども、高齢者向けなど世代を分けたものや、生の音楽と楽しむプログラムなど様々な人が楽しめる工夫が凝らされている。
明石市立天文科学館
兵庫県明石市人丸町2-6
大人700円、高校生まで無料
午前9時半~午後5時(最終入館午後4時半)
休館日は月曜日、第2火曜日、年末年始など(ホームページに臨時休館日を掲載)
078・919・5000
佐賀県立宇宙科学館ゆめぎんが(佐賀県武雄市)
「宇宙から地球・佐賀を発見する。佐賀から地球・宇宙を発見する。」をテーマに1999年に開館した。地球・佐賀・宇宙の3つの発見ゾーンからなり、最新の投映機を備えたプラネタリウムもある。時事や季節をテーマにした企画展・ワークショップを開催するなど何度訪れても新しい発見ができるよう工夫を凝らしている。現在の館長は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員を兼任。佐賀県が主体となってJAXAとの連携を生かした教育的な取り組みを行っている。
地球発見ゾーンは1階に位置する。1.3メートルと4.5メートルの高さにある細いロープの上を重りがついた自転車で移動し、重力を感じてもらう「スペースサイクリング」が人気。自転車に乗ると下に地球を、周りに月の模型を見ることができ、宇宙旅行気分が楽しめる。そのほかに磁力や光を感じられるような展示もあり、宇宙の中に地球が存在していることを体験しながら学ぶことができる。
宇宙発見ゾーンは3階にあり、2024年3月に「宇宙へのはるかな旅~宇宙と人類の壮大なドラマ~」をテーマにリニューアルする。最新の宇宙科学や技術を楽しく学び、宇宙と自分たちのつながりを体感することができる。また、JAXAが監修した『HTV-XG』で物資を月へ運ぶ管制官になりきるシュミレーションゲームや、月・火星・冥王星の重力の違いを体感できる大型装置などがあり、ここでしか体験できない体験型展示が多数ある。
1階の佐賀発見ゾーンでは、有明海に生息するムツゴロウなど希少な生き物も観察できる。県内外から年間約27万人が来館するが、その多くの人がミュージアムショップの品ぞろえの良さに驚く。特に宇宙食はパンやカレーにサバ缶、ようかんなどもあり、とりわけ修学旅行生が喜んで買っていくという。
佐賀県立宇宙科学館ゆめぎんが
佐賀県武雄市武雄町永島16351
大人520円 高校生310円 小中学生200円 幼児(4歳以上)100円
平日 午前9時15分~午後5時15分 土日祝日 午前9時15分~午後6時(チケット販売は閉館の30分前まで)
休館日は月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)だが、春休み・大型連休・夏休みは開館する。その他施設点検などで臨時休館することがあり、ホームページを参照。
0954・20・1666