教科等横断的実践をつなぐ学校ビオトープの構築

■概要

2023年4月に実施した中学1年生の理科の授業にて「ビオトープは、各学年の理科や様々な教科の学びに生かせるため、学校の中庭にそのような環境をつくりたい」という意見が挙げられた。生徒たちの意見について、職員会議においても議論し、様々な教科の学びにつなげられるビオトープを中庭の1000平方メートルの空間に構築することが決まった。
実際に、下記に示している全学年の理科の授業や各教科の授業に活用されている。（具体的な取組は、参考資料を参照。）
ビオトープ管理委員の発案により、福島県内の小中学生を対象に、「ふくしまビオトープ子どもサミット」をオンラインにて開催し、自然環境の保全やビオトープの魅力を発信した。

■本教材の目標

●理科
・生命や地球に関する事物・現象の中に問題を見いだし、科学的に探究する活動を通して、生物の多様性に気付くとともに気象や季節が生じる規則性や季節と生物の関係性を見いだしたり、それらに関わる課題を解決したりする力を養う。
・生命や地球に関する事物・現象に進んで関わり、科学的に探究しようとする態度と、生命を尊重し、自然環境の保全に寄与する態度を養うとともに、自然を総合的に見ることができるようにする。
●総合的な学習の時間
・実社会や実生活の中から問いを見いだし、 探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、積極的に社会に参画しようとする態度を養う。

■単元の評価規準・基準

本時例が教科等横断的な実践であり、教科数が多いため、教科を抜粋して記載する。
「●知識・技能」
・身近な自然環境について調べ，様々な要因が自然界のつり合いに影響していることや自然環境を保全することの重要性を理解することができたか。【理科】
「●思考・判断・表現」
・その成果物から、生徒がどのように探究の過程を通して学んだかを見取り、探究のプロセスに基づいた学習を実施することができたか。【総合的な学習の時間】
「●主体的に学習に取り組む態度」
・探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、積極的に社会に参画しようとする態度を養うことができたか。【総合的な学習の時間】

■学習計画

理科（50分 ✕ 10コマ）
「いろいろな生物とその共通点」の単元では、中庭のビオトープ空間や校地内の植物や動物を観察し、体のつくりを写真として記録をした。観察した結果をもとに、植物や動物の種類ごとの特徴や分類方法を学習した。
図工・美術・音楽（50分 ✕ 1コマ）
生徒が主体となり、ビオトープ案を募集し、校内コンテストを開催することになった。生徒たちの思いを踏まえ、美術の授業では、「構図・レイアウト」の授業の題材としてビオトープを活用した。
総合的な学習（探究）の時間（50分 ✕ 4コマ）
ビオトープの概念を正しく理解するために、福島大学の教員と連携して、講義を実施した。講義後には、目標とするビオトープをつくるために、「ヨシ」「チガヤ」「ススキ」の３種類の植物を校地内から移植した。

理科（50分 ✕ 10コマ）
「気象とその変化」の単元では、数学の分析データを生かし、福島県の気象によって、ビオトープ内の池の水位がどのように変化していくかを探究した。雨量計をビオトープ内の12地点に設置し、経過観察を行っている。
算数・数学（50分 ✕ 3コマ）
「データ活用」の単元では、気象データを分析し、年間の傾向を捉えた。積雪の影響がではじめるのは、何月何日ごろかという疑問をもち、統計的課題解決のプロセス（PPDAC）をもとに、今年の初雪の予測を行った。

理科（50分 ✕ 20コマ）
「地球と私たちの未来のために」という単元では、中庭のビオトープの生態系について、生物を指標とした環境調査を行い、分析した。また、「生命の連続性」の単元では、ビオトープ内の植物を教材として活用した。
総合的な学習（探究）の時間（50分 ✕ 10コマ）
生物を指標とした環境調査を正確に実施し、分析するために、福島大学の教員と連携して、生物の種の同定方法や生物を採集する際の注意点に関する講義と校地内（中庭と外庭で計4500平方メートル）の環境調査を実施した。

■提供ファイル

1. 参考資料_福島大学附属中学校「【スライド】ビオトープコンクール2023」（ダウンロードする）
2. 参考資料_福島大学附属中学校「【原稿】ビオトープコンクール2023」（ダウンロードする）
3. 参考資料_福島大学附属中学校「【ポスター】ビオトープ活動」（ダウンロードする）

■関連リンク

• 【教育事例に関する問い合わせ】福島大学附属中学校
• 全国学校・園庭ビオトープコンクール2023発表大会