メダカの産卵は真夜中から始まる 大阪公立大と岐阜大
様々な実験に用いられるモデル生物の一つ「ミナミメダカ」の産卵は、野外において真夜中の午前0時ごろから始まっていることを、大阪公立大学と岐阜大学の研究グループが明らかにした。従来、メダカは日の出前後1時間くらいに産卵すると考えられてきたが、それを覆す発見となった。モデル生物の野外下での生態は、研究室内の様子と異なることを示している。
大阪公立大学大学院理学研究科の近藤湧生特任助教(行動生態学)と安房田智司教授(認知進化生態学)、岐阜大学教育学部の古屋康則教授(繁殖生理学)らの研究グループは、メダカの産卵行動について研究を続けてきた。
一般的に、メダカの産卵は午前5~7時ごろだと考えられているが、近藤特任助教は、暗い水槽の中で産卵しているメダカを見かけることがあった。そのため、「実はメダカはもっと早い時間に産卵を始めているのでは」と考え、観察に着手した。
近藤特任助教が大学生時代に暮らしていた岐阜市内で、メダカがいる川を探した。アクションカメラ「GoPro」と赤色光ライトを使って、2023年7~8月の午後9時から翌朝午前5時まで、毎時10分間の様子を定点記録し、解析した。午前5時以降は水面に太陽が反射して撮影が困難となるため、この時間帯にした。

動画を解析したところ、オスもメスも午後9時~11時は活動量が少なく、午前0時以降に活発に活動していることが分かった。メスは産卵後数時間、お腹に卵を複数個ぶら下げて泳ぐ。その時間帯を記録したところ、午前0時頃から始まり、真夜中に産卵していることが明らかになった。
別の先行研究では、水槽にレーザービームを照射し、メダカの活動量を測定する実験があった。日の出の3~4時間前に活動量が増加していることが分かっていたが、何のために活動しているかが分かっていなかった。
そこで、今回は動画の様子から、メダカの活動内容を詳細に観察した。オスがメスを追いかけて求愛活動する「したがい」行動は午前0時過ぎから増え、2~3時頃に特に多くなっていた。そして、オスがメスの前でくるっと回り、気を引く「求愛円舞」行動は午前1時から3時にかけて増加していた。これらの行動に伴い産卵が始まることが先行研究で分かっており、午前0時から3時頃の真夜中の時間帯に野生下のメダカは産卵していることが判明した。

他のモデル動物であるマウスやゼブラフィッシュでは、研究室の個体を野外に近い環境に放つと、捕食者を意識せずに大胆に動き回るなど、室内との違いが報告されている。今回の研究結果により、メダカでも同様のことが起きていることが予想される。
近藤特任助教は「実験室内と野外でどのくらい生態に違いがあるか知っておくことが、モデル生物を室内で扱う際に必要だと思った」と振り返る。
安房田教授は「室内では室温が一定で、電気を付けたりするなど、自然界と異なる。研究室内でのメダカを常日頃から観察していたからこそできた研究で、『モデル生物の本来の姿』を知っておかないといけないと気づかされた」と述べた。近年、メダカが生息する川や用水路が減っており、自然のメダカの研究には困難さが伴っているという。
研究は日本学術振興会の科学研究費助成事業、東京動物園協会野生生物保全基金、笹川科学研究助成の支援を受けて行われ、成果は2月13日に米科学誌「プロスワン」に掲載された。
関連リンク
- 大阪公立大学プレスリリース「そっと覗いて観ていたら新事実が判明! 野生のメダカは夜明けではなく深夜に産卵を開始する」